一時はどうなることかと思ったが、なんとか土日で残り4往復というところまできた。この残り4往復を二日でどう処理するか(確かに、9月10日(月)が最後期日ではあるが、以前いったようにバリウムを飲んで下剤を服用しているために、腹痛で満員電車にのるようにかなり危険な状態になるため、9月10日は除外する)。4÷2で各日 2往復ということも考えた。ところが、この2日間考えたが、どうもそれは私の美学に反する。これでは、ギリギリで見苦しい(実際はギリギリなのだが・・・)。やっぱりこれは余裕をもって涼しい顔で終わりを迎えたい。だから、今朝、3往復してきた。これで29/30を達成。あと1往復だ。
ひそかに、最後の1往復は象徴的な夜登山で締めくくろうと思っている。今晩、よなよな出かけて静かに閉じようと思う。
さて、土曜日の8時半ともなれば、多くの登山者がいる。平日の朝5時半とは大違いだ。
今日の3往復はすべて健脚コースの「馬の背」。
最初の1往復目。上のほうで、黄色い子供の声がする。言葉はハッキリ聞こえないが、どうやら「文句」を言っているようだ。さては、土曜日の朝、親子で登山かぁ~。とほのぼのとした気持ちになった。どんどん、その黄色い声に近づいていった。この急斜面、目の前の岩のみに目をやっていたら、視界に信じられないものが飛び込んできた。いわゆるサンダルである。なにぃ~。なめとんかコイツとおもい姿を見上げる。キティちゃんのスエット。青白く光るアイシャドウ。そして、先ほどの黄色い声。おーーー、これは年端もいかないヤンキー娘ではないか。どうやら二人のヤンキー娘を一人の兄ちゃんが(この兄ちゃんはちゃんと靴を履いていた)山につれてきているようだ。私は、何が彼女らを山に駆り立てたのかよくわからないが(たぶん、兄さんにだまされたのだろうとおもう)、例の「おはようございます」と言えば、3人から気持ちのよい返事が帰ってきた。がんばれ、ヤンキーィ!
さて、二往復目。また馬の背で登る。これは一番からだに負荷がかかる登山道。腿の筋肉を一番使う激しい道。こんなのが一日つづくような山だったら、これは参る。しかし、この登山道、きつくても20分も我慢していれば山頂にいけちゃうほどなので、この短いのを何往復もして筋力アップを計る。そして2往復目。残り10mのところで、またあの黄色い声に出くわした。もちろん、今回もとりあえず「おはようございます」。すると、すれ違いざまに「おはようございます」。しかし、2mも行き過ぎたところで、さきほどのキティちゃんが「あれぇ~、今の人・・・さっき・・・」。もちろん、時々、戦国落ち武者の出る金華山である。目を疑うことも多い。しかし、私は生身の人間。キツネにつままれた状態の娘を救うべく、振り返り「えへぇぇ、二往復目です」と声をかけた。彼女らから歓声があがった。たいしたことはない。照れるじゃないか・・・。でも、娘さん、サンダルでこの崖を降りようっていうことのほうが、驚きだよ。サンダル登山なんてぇーのは、尋常なことじゃないよ。そう声をかけたがったが、もちろん、そんな勇気ははない。
さて、三往復目。またまた馬の背で登る。いい加減に足が上がらなくなってくる。元気なころは筋力にに余裕があり、自然と足も必要以上に高く引き上げられるためか、つまづくことはない。しかし、例えば、30cmの石を登るとき、元気なときなら意識せずとも40cmくらい足が上がるのだろうが、疲れてくるとギリギリ30cmを狙うから結果的に29cmとなって、つまづく。そんなことがあり、足もふらふらだ。そんなフラフラではあるが、中盤にさしかかったとき、キティちゃんにあう。今登っている崖から、崖の上にいるキティちゃんを見上げると、キティちゃんは満面の笑顔で私を迎えてくれた。「あはぁはぁ、はやいですねぇ~~」「ええぇ、まぁ、今日の最後です(ほんとは夜もう一回登ろうとおもっているけど)」などと会話もはずみそうであったが、修験者の一人と他が認める私である、そんなコミュニケーションは修行の妨げ。もうひとりのキティちゃんの「すげぇぇぇーぇ」という感嘆の声に見送られながら、ふらつく足にムチ打って涼しい顔でキティちゃんたちが見えなくなるところまで駆け上がった。