回想ヒマラヤ10 非日常4

 この半年で8キロ近くのダイエットをした。そのために、日々有酸素運動に気をつけ、食事も腹4分くらいで抑えて、禁欲・禁欲の生活をつづけ、減量してきた。一般的にいって、体脂肪が燃えるのは、心拍数が120以上のときらしい。だから体脂肪を燃やすため負荷の低い自転車(自転車通勤)をやめて、自転車以上に負荷がかかるランニングを選択した。それで、数日に一回、ランニングをすることを心がけた。
 体脂肪が燃えるための条件は脈拍数以外にもう一つある。運動の継続時間だ。心拍数120以上を20分以上キープしたとき、体脂肪が燃えるという。そのため、さきほどのランニングも一キロを5分で走る僕は、4キロ以上は走らないことには体脂肪は燃えない。そこで、毎回苦しみながら10キロ~12キロを走り続けた。こうして苦労して8キロの減量を実現した。

 さて、話はヒマラヤ。僕は健康診断をするたびに、「じょ脈」、つまり心拍数が低いと指摘される。大体、一分間に50鼓動を下回る程度だ。さて今回のトレッキング、空気は平地の半分以下、だから、酸素をいままで以上にキープするためは、①呼吸の数を増やす②脈拍を増やし血液の流れを早める。などの工夫をしないと死んでしまう。

 幸いなことに、体はよくできていた。苦しくなったら自然と深呼吸する回数が増える。またこれが驚きなのだが、高所では自動的に脈拍があがった。4000mを超えたところでは、ときどき心拍数をはかっていた。すると、脈拍は80~110くらいだった。空気が薄くなると自然と心拍数があがるのだ。
 ところで、脈拍数があがるということは心臓という筋肉の塊の運動量が増えるということ。しかも、高所にずーっといるから心臓という筋肉は常に運動している。心臓が運動をするためにはエネルギーが要る。エネルギーが要るために体脂肪が燃える。そのため沢山食べてないと体力を維持できない。だから、ヒマラヤでは食事の量を腹8部くらいにするように意識していた。
 その甲斐あって、ヒマラヤから帰っても他のメンバーは3週間で8キロやせたとか、3・4キロやせただとか行っていたけれど、僕の場合は体重は変わらなかった。

 
 ところで、高所ではどんなことが起こるのかと興味深深の方もいるかと思う。そこで、僕がびっくりした高所で起こったこと2つを紹介しよう。今日はまずその一つ目。

 一つは、寝袋で寝ることが命がけだということだ。たとえば、家のベッドで布団いもぐりこむとき、一般的に人は布団を持ち上げ、掛け布団と敷布団の間にスライインする。これはあたりまえ。別になんんともない。ところが、寝袋だとそうはいかない。
 コタツで不覚にも寝てしまった経験はだれにでもあるだろう。あとで、試してみていただきたいが、コタツで寝ようと思ったら、布団を上げるようにはできない。天板が固定されているから、決められた床と天板の間の距離にスライドインしなければならない。自分に都合がいいように布団を上げることができないのだ。
 これが曲者(くせもの)である。人はあまり気づいていないと思うが、コタツで寝ると天板と床との間にスライドインするには、意外と腹筋を使う。でも、こんなことは平地ではなんでもない。
 しかし、これが高所の寝袋となると大変だ。寝袋はベッドの布団と違い、スライドインする高さを自分で調節できない。つまり、コタツと同じだ。コタツでは腹筋を使う。それと同じように寝袋で寝るには腹筋を沢山つかうのだ。これが問題。腹筋を使うために、筋肉をつかうい、そのため安静時以上の酸素が必要で、安静時よりも多くの酸素が要求される。となると、どうなるかといえば、山を登っているような負荷が体にかかる。つまり、高山病対策のため頻繁によるトイレに行く。(寝袋からでて、寝袋にもぐりこむ)。そのため、トイレからもどり寝袋に入るときはいつでも、100m走をしたようにゼイゼイするのだ。さらに、さらに寝袋に寝ながら寝返りを打つと、実はそれだけでゼイゼイのだ。

 おーーーっと。ということは低酸素の高所にいる限り、運動をしなくても体脂肪は燃える。

 さて、やせたくなったら、またエベレスト周辺にいかなくちゃ。おっと最近、また体重が気になり始めた。再度ヒマラヤに行かなくちゃ!!!

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