昨日の朝、家をでて九州に向かった。向かった先は熊本県人吉のある林業会社。日本の林業界でも頑張っている会社の1つ。日ごろ、私は空から森林の資源量を計測することを飯のネタにしている。けれど、林業を営む会社にとって私が計測する資源量が意味あるものなのかを再考するため、無理をいってその会社の森林調査に人足として使ってもらい、自分の日々の仕事に活かしたいと思って九州まで飛んできた。
その結果、様々な学びの多い森林調査になった。学問と実業の違い。岐阜県と熊本の違い。学校と会社の違い・・・。半日あまりの森林調査だったが、これからの私の研究と教育の両方に影響ある濃厚な時間になった。
今日、訪問した会社は、危険の高い林業の現場で日本でも屈指の安全に配慮した林業を目指している会社だ。社長は常々「安全は全てに優先する」をことあるごとにいっている。そのようになった経緯が社長の書いた本にあった。会社の設立当時、従業員の一人が現場の事故で亡くなったことがそのキッカケだという。日本の林業現場での安全に多大な貢献をしてきたその会社の安全配慮のキッカケになったこの従業員の方は、いわば日本林業の安全向上のための礎になった方でもある。この会社では年に一度、従業員全員で、事故から40年たった今でも毎年お墓参りに行っているとのこと。そこで常々、私もその方のお墓参りをしたいと思っていた。ちょうど、今日は社長が彼岸でその方のお墓参りをされるとのこと。念願かなったお墓参りができた。親族は離村してお墓を守することがなくなっている。そのお墓に、社長は年に4回、盆暮れ、彼岸とおまいりに来るという。
元従業員の方の隣に3つの墓標があったが、20cmくらいの木製の柱、10cmくらいの木製のお墓、そのあたりに落ちている小さな石を墓標にしていたその家族のお墓。感慨深いものがあった。
明日は、屋久島に渡り営林署を訪問し、情報収集を行う予定。