G大学には私的にはとてもハイセンスなネーミングのセンターがある。流域とか環境とか科学・・・とかが入った名前である。現職についたいまから8年前には、あのセンターのある岐阜に来た!という気持ちすらあった。しかし、誰も知らない。そこで、GISソフトの営業にきたお兄さんに「あそのこの人を紹介してほしい」といったら、彼はすぐに紹介してくれた。だからそのセンターとは8年前に接点が出来た。
美濃の山奥にいるとなかなか、ディスカッションする人もいないため、いいアイデアが浮かぶと、かってにセンターにアポをいれて強引にプレゼンをさせてもらいコメントを貰っていたりした。もちろん、業界を知らなかったので、○○先生と気軽にお話をしていたのだが、あとで分かったがその方はかなり著名な方だった・・・。その後も、いろいろなときに会議で一緒になるなどして、一緒に仕事をすることも多くなり、いまではセンターの方々のプロジェクトに声をかけてもらえるようになった。
その先生の退官講演が金曜日にあった。スタートは10:30。家とG大学とはバイクで10分くらい。私は余裕をもって9時50分に家を出た。G大学は車を止めるスペースがなかなか空いていないため、バイクがちょうどいいのだ。まぁ早くついたところで、生協でお茶でものんで、そして、それでも時間があれば図書館にでも・・・。まぁ散歩しながらいまどきの大学生の人間ウォッチングでもいいかなぁ。
私はバイクの衣装(上下皮)で身をつつみ、今日だけは、あのオバハンカバーをハンドルからはずし(大学生に笑われる)、ブルゥンと走り出した。
最初の交差点に入る手前である。
エンジンが止まった。
うんともスンとも言わない。家からはすでに500mくらい走っている。まだガソリンはわずかだがある筈だ・・・。キュルルルルン・・・キュルルルルン。セルモーターを回しても空回りするだけ。あ~、これじゃぁバッテリーがあがってしまうじゃないか。
時計を見る。10時5分前・・・、10時、10時五分・・・。あ~、これじゃ最終講義に間に合わない。まてよタクシーか?おっとバイクはどうする・・・。なんてことだ。どうした!このエンストがいやだから新車を買ったんじゃないか!!!あ~、遅刻する。カッコわるい。もしかしたらうちの学長も行くようなこと行っていたし・・・。ダメだ、遅刻して会場に入るなんて失礼すぎる・・・。
いかん、もうバイクを置き去りにして家から車でいくしかない。駐車場は心配だ。しかし、それしかない。なぜなら、財布を忘れており、タクシーに乗れないことがわかったからだ。
バイクを近くのバス停におき、車をとりに急いで走った。しかし・・・。この皮の上下。特にズボンの皮は抵抗が強くて、足が進まん。まるで鉛の服のしたに、大リーグボール養成ギブスをつけた星飛馬だ。しかも、エンジニアブーツの底は硬く、まるでスキーブーツで走っている感覚だ。そして汗が・・・。
まずぃ。汗みどろで最終講義の会場にはいるなんてかっこ悪すぎるぅ~。
・・・
ふー、なんとか2分前に現地に入れた。間に合った。もちろん、私は涼しい顔をしている(ハズ)で、この30分間の修羅場について、誰一人知る人はいない。
しかし、この最終講義を聴きながら、またアイデアが思いついた。眠れぬ夜が続きそうだ。