春風接人さんのお薦めがあって、Wood Jobの原作
『神去なあなあの日常』読んだ。
もちろん、原作と映画ではいろんな場面設定が違っていた。一番違っていたのは、主人公の林業や地域社会への愛着の違いだと思った。映画では、主人公は林業や地域に溶けこむことから一歩距離をおいていたが、原作では林業や地域に積極的に解けもうとしていた。ここが大きく違う!?
しかし、映画にしろ、原作にしろ、いずれの描き方にしてもなかなか面白い(興味深い)。
映画の林業に対する理解には、少し現実離れしたところを感じた。
一方、原作の林業に対するには、一般的な林学の常識などからして、ちょっと違うなぁというところがときどき見られたが、原作のほうが林業や地域に溶け込むことへの愛着が随所に感じられた。しかし、そんな「取材の甘さ」もそれを吹っ飛ばすほどの快適さがあった。
たしかに、原作も面白い。読んでよかった。
文章は、ときおりサリンジャーの「らい麦畑でつかまえて」のような文言があった。しかし、その文言表現は「サリンジャー」と比べたら、和歌とダジャレほどの格差があり、苦笑いの箇所も多々あった。でも、そんな苦笑いも林業や地域への作者の愛情を考えれば小さな話だ。
映画を観ただけでは、感慨深く感じたことの原因を言葉で表現できなかった。しかし今回、原作にあたり、「感慨深かった」の原因がわかったような気がした。
・・・、その本丸は原作中の一文にあった。「山仕事は仕事ではなくライフスタイルだ」。これはうまいこと言い当てている。
主人公の日常の喜怒哀楽の表現を通し、山で生きる人々には、現代社会を支配する経済至上主義とはことなる”主義”が存在することを様々な事例を通して示していた。そして、それが読者にとって”快か不快か”を判断させる材料を提供していた。山にはお金で計れない価値がある。そしてその価値は、人の一生をかける値打ちがある。そんなことを問いかける一冊だ。
この本を読んでい林業や地域社会や日本文化へに対して興味をもつ人が増えたらと思わずにはいられない。
なお、私の場合・・・、町にも住めないし山にも住めないことを改めて思った。きっと町にも山に身をおけず、地球に根を降ろさず、地球を俯瞰するというのが自分の快適な立ち位置なのかな・・・。