蛍・・・。

私の実家周辺の話。

いまから40年くらい前・私が中学生だった頃。一学期の期末テストに備えて勉強していたときのこと、窓の外にはホタルが舞っていた。それが私の期末テストの風物詩だ(その年初のセミの声を聞くのも、一学期の期末テストで家に早く帰ったときだ)。
ちなみに、その十年前、私が保育園に通っていたころは、家の中までホタルが入ってくることがあった(らしい)。母親が捕まえた蛍を虫かごにいれて保育園に持っていった記憶がある。
ともかく、ホタルが日常の土地で育った。

さて、中学から高校あたりの夏のこと、農協が「今晩、田んぼの管理のために殺虫剤を散布するので、洗濯物は家に取り込み、ペットは家の中に入れてくれ」と放送をしたときがある。その晩には、「ボーッ」っと音を出しながら、暗い闇夜に白煙を吐き出してゆっくり進むトラックの姿があった。あのときの殺虫剤の匂いはいまでも忘れない

今思い返せば、あの殺虫剤散布と時を同じくして、ホタルは根絶した。当時、少年の私は、殺虫剤とホタルの因果関係に思いを及ばすことはなかったが、いまは確実にホタルがなくなったのは、あの殺虫剤のせいだと確信している。

しかし、しょうがないか・・・。農家の生活のため、農業生産性を上げるため・・・、私の家のまえの茂みの蛍は犠牲になっても致し方ない、そんな思いもある。

ところが、、、いま実家に帰ると、それらの田んぼの多くが、後継者不在で耕作放棄になっているのを目の当たりにする。

あの蛍は、たかだか20年位の間の農業のために、姿を消したのか・・・。なんともいえない悲しい気持ちだ(農家が引き継がれない悲しさ、ホタルがいなくなる悲しさ・・・)。

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