金華山物語」カテゴリーアーカイブ

新トレーニングコース

b8bc662f.jpg 今日、学生さんが用事があるから休みをくれということだった。そのため久しぶりの日曜日だ。ネパールからの下痢や風邪・・・、そんなことがあったので、体力回復にと多少のアイスやチョコや菓子は・・・と思っていたら、ちょっと体重が増えてきた。そのため、4日くらい前には12キロ走をして体脂肪を落とす努力をし始めた。しかし、こんなに苦しいならお菓子なんか食わなければよかったと思うが・・・。

 さて、今日はそういうことで一日家にいられるので、新トレーニングメニューを開拓することにした。登山+ランニングである。

 これまでの経験から、登山は下半身の筋力をつけ、ランニングは体脂肪を燃やす、そんな役割がある気がしている。どちらも私にとっては重要。なんとか体脂肪を燃やしながら筋肉をつけられないものか。前からそれを実現してくれるメニューに組み込もうと考えていたコースがある。金華山のドライブウェイである。金華山の山をグルリと半周する舗装された山道がある。昔は走り屋たちが夜な夜な、タイヤの音を鳴らしていたらしい道路。今日は、その道に挑戦だ!初めての山道ランニング、初めてのコース。距離も負荷も不明だ。2時間あれば家に帰れるだろうと、朝飯を食べず、VAAMを飲んで家を出た。

 いつもの馬の背登山道から金華山、金華山から岩戸公園(岐阜城をはさんで家の反対側)、岩戸公園からその山道をランニング。だれも、そんな山道を走る人はおるまいと思ったが、年のころは70くらいの背の高い爺さんが背筋を伸ばして走ってきた。もしかしたらあの人が、TSさんか?そんなことを考えていたら、こんどは年のころは50くらいのオバハンランナーに出会った。また30くらいのカモシカのようにすれ違ったマッチョなランナーもいた。うーん、すき物はこの岐阜にはたくさんいるんだなぁ~。正月の雪登山といい・・・!

 結局、登山道は馬の背から岩戸公園が40分、岩戸公園からドライブウェイが30分だった。負荷はとてもあったが、時間がこれでは短い。かといって往復するほどの元気もない。なんとかもう少し負荷の多いメニューを考えなくては・・・。

金華山の土器 続編

金華山登り口 今日も日課となった金華山に行ってきた。家から金華山山頂(馬の背)、山頂から家の反対側の岩戸公園(東坂登山道)、岩戸公園から山頂、山頂から家(馬の背)。つまり2往復、やく1時間半。これで3回目の岩戸公園のコースだが、いろいろ金華山に登っているが、このコースが一番気持ちがいいのでは?と思う。東南の斜面なので太陽がサンサンとしているし、コースには緩急がある。そんなコースの上り口が写真である。なぜか、傘が・・・。金華山では傘差し登りがはやっているのだろうか?

 さて、正月に拾った土器片。今日、近所の歴史資料館にもっていった。10分歩いたところにある事務所で、「あの~、土器・・・」とたずねたら、歴史資料館は明治以降の文章を保管しているところであって、土器のことなら「文化財保護センター」にお尋ねください、とのこと。そこで、そんなに遠くはなかったので、文化財保護センターに電話を入れた。すると、たらいまわしで申し訳ないが「金華山」の管轄は岐阜市教育委員会だからそちらに行ってください、とのこと。うちに来てもらっても「土器をみて、どの時代の何の目的の・・・と説明ができるだけで、物は岐阜市教育委員会に」といわれた。「そんな私の道楽のために、仕事のお邪魔をしてしまったら申し訳ない」と言ったら、電話で鑑定してくれた。土器の色、形、土の感じ・・・。私はもしかしたら、金華山で古墳時代の遺跡がでるらしいので、そこででてくる「須恵器」というものでは?とも思っもいた。すると、その電話の先の人が言うには、古墳時代にはすり鉢のようなのもはまだ開発されていなかった、なので、おそらく安土桃山時代のものでしょう、とのこと。ついでに、岐阜城の井戸の下で見つけましたというと、おそらく食事の支度などをしているときに落としてしまったのでしょう、などという解説をしてくれた。その話の真偽はおいておいて、それを聞いたとき、そのすり鉢を落とした女中さんの所作と、城の日常生活の一幕を、400年後の僕が時代を超えて感じたような気持ちになった。

 僕は、てっきり斉藤VS織田の城攻めの過程で無造作に割られた、もしくは、関が原の戦い後、廃城の際のゴミとばかり思っていて、なんの生々しい感覚も持っていなかったが、「食事の支度の途中で落として割れた」なんていう話を聞けば、岐阜城の平和な生活の1コマが脳裏に浮かび、なんとも不思議な感覚がした。

 しかし、残念だが、岐阜市教育委員会にはいついけるだろうか。土日は休みだという・・。

好きもの天国

山頂 待望の雪が金華山に降っている。自分の足跡だけが残る金華山登山を目指して、雪が激しくなってきたのを見計らって出かけた。ところが、この元旦早々、4人の「好きもの」に出会った。この雪の中の登山とは、アホちゃうか!と思いながら、自分ひとりだと思い込んでいた自分が悔しくもある。しかも、今日の人たちはつわものぞろい。4人のうち一人は「山屋」のようないでたち。しかし、2人は”傘さし”登山である。この傘は、以外にいいアイデアだと彼らに出会って思った。なぜなら、雪や雨が降ると合羽を着なければいけない。合羽を着るといつもより一枚服が多くなるので、熱い。これはマズイ。汗をかけば体が冷えて、いまは往復一時間だから汗をかいても風呂に入ればそれでいい。しかし、キャンプでの冬山登山を想定しているので、やはり服がぬれていては不愉快だ。となれば、金華山のように登山道が開けているところは、別に傘をさしていても不都合はない。
なるほど、こんど雪が降っていたら傘をさして登ってみよう。

岐阜城 しかし、ちょっとびっくりしたのは最後の一人である。年のころは10代後半。アイポッドをもって傾斜のキツイ馬の背登山道を”はぁ、はぁ”登ってきた。しかも、足元はジョギングシューズ。驚きは、ウインドブレーカーにハーフパンツ。あとで、彼の足跡を追ってみたら、彼の一歩の長いこと、長いこと。汗びっしょりになりながら走るように登っていたのだろう。僕の2歩が彼の1歩である。なかなか、あの若い衆やるのぉ~。と思った。ところが、頂上に近づいたら、彼の一歩と私の一歩がほぼ同じになっていた。なんだ、あの若者もばてたのか?と思っていたら、そこは階段。歩幅が同じになるわけだ。

少年 左の写真の真ん中に人影があるのがわかるだろうか。彼の姿を見かけ、あわててカメラを取り出しシャッターを切った!なんだか、雪男の目撃写真のようになってしまった。しかし、まずいことに、フラッシュがたかれてしまったため、少年は後ろのハゲオヤジが写真を撮ったことに気づいたことだろう・・・。

雪は何処?

yuki_mino 今年狂ったように金華山に登るようになってから、たかだか1日1時間の山登りなのに体の調子がいい。上り始めの頃は、ここが微妙に痛い、あそこが痛いということがあったが、登り続けることによって痛みがなくなってきた。
 正直、夏の乗鞍のときは右足の甲(足の小指と薬指の付け根からクルブシに駆けて)が山に登るたびに痛かった。これでは万が一ヒマラヤに行けることになったときにはまずい・・・。その後、なるべくそこをかばわない様に、たかだか一時間の登山だと、痛い部位をイジメル(=鍛える)ようにしていた。そのうちその痛みも忘れた。
 また、山に登るときに、しんどい思いもしていたが、いまではあまり苦しいと感じない。これは仕事柄大きなメリットがある。ここで筋力を落としたら今後の仕事にマイナスになる。「汗をかかない上り方のマスター」+「体調維持」で来年も金華山しよう。

snow_gifu さて、大寒波ということで、ここ数日期待に胸膨らませ金華山を見上げてきたが、金華山には雪がまだ降っていない。イメージではここ2・3日で積雪20~30cmを期待していたが・・・。でも、写真の市内にある岐阜大学の後ろまで雪は迫ってきた。もちろん、美濃方面も雪、雪、雪。
 早く金華山にも雪が降らないものか。そしたら、誰の足跡もない道に僕の足跡を最初につけるのだ!

doki ところで、今日の発見。岐阜城直下20mくらいのところの登山道、下に目を落とすと土器のカケラが!ちょうど、その真上には岐阜城の井戸(雨水をためていた水溜り)があったところである。もしかして・・・などといろいろ想像していたら、帰り道はあっという間に家に着いた。

金華山に集う人々 その3

金華山に集う人々 その3

 ヒマラヤで不思議をいくつも体験した。2週間風呂に入らなかった。けれど、何とかご機嫌に暮らしていた。僕は汗かきだ。普通だったら汗をかいてしかたない山登り。けれど、なぜかヒマラヤでは毎日汗をかいた!という記憶がない。汗をかいてシャツを替えたのは一度だけ。なぜだろう。そこで帰国した今、汗をかかずに山に登ることを研究しようと思う(まぁ簡単なこと・・・だと思う。酸欠で早く進めないのでゆっくり登っていたからだろう。だから、日本でゆっくり山登りすればいい?)。もちろん、実験地は金華山。
 
 昼飯を食って実験を始めた。
 家から金華山に向かうには、近所の日中友好庭園を横切る必要がある。この公園の入り口の近くには公衆トイレがあるが、今日、そのトイレからサンタクロースが出てきた。スカートをはいた女性のサンタ。ちょっと目をしばたいたが、まぁ、一種のコスプレだろうと理解しようとした。ときどき日中友好庭園では、マニアな写真撮影会が行われているので、それではないかと。しかし、そのスカートを履いた女性サンタの両サイドを、新たにトイレから出てきた2人の女性が取り巻いた。まったく普通のジーパン姿の女性である。奇妙なのが、その2人の女性の背には「登山用の大きなリック」。良く見るとそのサンタの背中にもリック。まさか、子供たちへのプレゼントではあるまい。まさか、金華山に登るのか?良く分らないこの3人。近づいたときに背中を向けていたサンタの正体を確認すべく、チラ見した。あのサンタ、「秋葉系」。彼女たちいったい何者だろう?あの格好で山に登るのか?それとも、人がすくない公園で初めての恥じらいコスプレ体験か?

 毎回汗かきながら体育会系の金華山をしている。体に負荷をかけて、脂肪を燃やし、筋肉を鍛え・・・。いつもなら家からでてドア・ツー・ドアで45分。しかし、実験初日の今日は、55分。ゆっくり登って、ゆっくり下ってきた。
 下りで爽やかな人たちとすれ違った。小学生4・5年生と思われる3人組だ。休日の今日、友達と集まったとき「今日なにして遊ぶ?」「じゃぁさぁ、金華山行こうぜぇ~!」「一番苦しい馬の背にいこまい!」「おっー!」そんな会話で金華山に来たのだろう。僕が子供の頃よく、「子供は風の子」なんてことをいっていたけれど、いつの間にか子供たちは、そとで遊ばなくなった(確かに世の中物騒だし、テレビゲームなんかもあるし)。昔は風の子だった、この禿親父も、今では寒がりで、「目的・目標がなければ山なんかに登らず」できることなら家でぬくぬくしていたい気分だ。でも、彼ら3人、純粋な気持ちで山に来ている。口うるさい大人たち言われるわけでもなく、自分たちの意思で・・・。彼ら3人のような子供を見て、ちょっぴりノスタルジックになり、ほのぼのした気分になった。「がんばれ未来のアルピニスト」、と心で声をかけてみた。

金華山で調子を確認してみた

 今回のヒマラヤ、前に書いたが6189mのアイランドピークには酸欠で登れなかった。それまでは金華山のトレーニングのおかげで、山登りもたいして苦しいと思わなかった。しかし、アイランドピーク以来、いや、思い返せば4700mのチュクンの町で体調を崩し始めて一日オフをもらったあたりから調子が狂い始めた。
 『心技体』というまことに美しい考え方があるが、とにかく、心技体のバランスが崩れ、体力はあるけど苦しい、やる気はあるけど体がついてこない・・・。なんだか運動会の行進で手足をバラバラに振る小学生のように、うまく自分の体が制御できず、そのまま帰国となった。そして下痢に悩まされ、咳・鼻水あげくのはてに発熱(熱があると思わなかったが、あまりに長い間なんだか変だったので体温をはかって初めて分った)。これには弱った。
 しかし、先週終わりあたりから体も回復し、今秋終盤には完全回復。なんだか、長良川で寒中水泳さえ可能な気持ちになってきた。そこで、自分の山登りのリズムや体力が壊れてしまったのか、恐る恐る確認するため、今朝金華山に登ってきた。

 結果、空気があるってすばらし~~~い!!!を実感。山に入る前のちょっとした坂道を目の前にしたとき、一瞬、ヒマラヤの苦しさがよぎった。しかし平地と同じような感覚で坂道を登る。しかも、だんだんスピードアップ。
 いつもの馬の背だって、ゼイゼイしない。はぁはぁ、といってりゃ上につく。筋肉も苦しくないし、呼吸もヒマラヤ的ではない。なんだか濃厚な酸素が体中にいきわたった。おー、これはいつもどおりだ。決して、ヒマラヤで基本が崩れたのではない。なんだか、ヒマラヤでは未知の世界に心が乱れ、浮き足立ったのだろう。結局夏と同じ玄関を出てから45分で山頂を往復できた。

 帰り道の瞑想の小道。下り始めたら、なんだかいつものナイトハイクと違って回りが見える。足場がみえる。ちょっと小走りに走ってみた。おっ、これはいける!!!このまま走っちゃえ~。とくだりの道は走りはじめた。すれ違う、ハイカーに挨拶をなげる。
 いつの間にか風切る耳に聞こえてきた。未来少年コナンのテーマ曲。岩や木の根っこをコナンのように軽やかに飛び越え、風よりも早く山を駆け抜け・・・。
 
 どうやら、ヒマラヤで頭がいかれたようだ。
 

ついにその日がやってきた パート3

ebef1fbb.JPG 先日トレッキングシューズの破損を見つけた。また、アイゼン(鉄のつめ)をつけるためのブーツも古くなっている。そこで、今日、トレッキングシューズと登山靴を購入した。今回のトレッキングシューズはなかなかよさそう。そこで、その靴をためすため今日の金華山は登りも下りももっとも激しいコースとなる馬の背を行くことにした。

 しかも出発まであと10日をきっている。今日はいつもの12キロの荷物に2リットルのペットボトル2本をくっつけ、つまり16キロの荷物を担いで金華山に登った。4キロのふえただけだけれど、背筋に負担がくるようになった。よかった・・・。本番登山の前に問題を発見できた!背筋を鍛えないと。

 さて、下り道。この馬の瀬登山道、上りは道を間違えることはないが、夜だと下りの道を間違えることがある。今日は、もっとも間違った。といってもたいしたことないが・・・。途中一旦、草むらのようなとこを通ることがあった。

 そんなことがありながら、なんとか下山した。今日のトレッキングシューズ。なかなかいい。最初は足袋で登山をして足を鍛えた。次に、ティンバーテックという会社の靴を履いて登った。たいしたメーカーではない(とおもっている)がさすが足袋よりも山登りのことをかんがえているなぁ。丸太を担ぐようになってからは不足の自体もあるだろうから、足首の保護を考えトレッキングシューズ。ティンバーテックのなんちゃってトレッキングシューズとくらべ、本物のトレッキングシューズは岩場でも滑らない。すごい!さすが!とおもったが、今日のシューズはそれ以上。すばらしいではないか。軽いし、岩も滑らないし・・・。

 山から下りて、日中友好庭園にはいり街頭のしたにきた。すると、黒いピチピチ登山シャツの袖に、草むらを通り抜けたときの草の種が引っ付いていた。私はあるきながらそれを一つづとった。日中友好庭園を抜けて道路に出ようとしたとき、おもむろに足元をみると、ズボンにも草の種が。そこで私は黒いズボン・黒い登山シャツ、丸太+3本のペットボトルといういでたちで、街頭の下、草の種を取り始めた。家の中で種を落とさないように・・・

 とそのとき、車が目の前で止まった。・・・ん・・・。とおもって見上げると、おまわりさんである。とうとう、わたしは職務質問をされた。そうか、これが職務質問か。そりゃ、そうだ。私はどう見ても怪しい。トレーニングだといって説明し、事なきを得たが、よかったぁ~。今日はヌンチャクを持ってなくて・・・。(熊よけの鈴を変わりに持っていた)

 おまわりさん、夜回りご苦労さん!

東京チームは低酸素トレーニングだそうだ

 エベレスト出発近づく。なんと、東京のメンバーはどこぞの研究所で低酸素トレーニングを近々して高山病対策をするらしい。もちろん、ただでさえこんど仕事に大きな穴を開ける身。そんな優雅なトレーニングをする時間はない。とすると、どうしたらいいのだろう。そこで思いつくのが、低酸素、つまり酸素が少ない。ということは空気を吸っても吸っても酸素が足りないくらい、ハァーハァー負荷を変えた運動をすればいいのか・・・。そう思い、今日は山を登るか登らまいか悩んだ。

 だって、おとついイノシイ(思い返せば色は鹿のような色だったが、鹿はいないだろう)に出会った。またあったら怖いではないか。12キロジョギングコースにしようか・・・。いろいろ迷ったが、やはり山でトレーニングしたほうが筋力はつく。しかし、イノシシ・・・。いつもならや山に入るときは熊よけの鈴をつけていく。しかし、鈴は職場に忘れた・・・。どうしたらいいんだ。

タイツ ところで、昨日かった筋肉補助のタイツを今日は試してみる。ピチピチだ。そして前回評価が高かったハーフジップの保温・速乾長袖シャツ。そいつをきて、いつものように丸太を担ぐことにする。私は頭がでかいので、ピチピチのシャツとタイツをはくとちょっとバランスが悪い。だから鏡で全姿を確認してみた。

ヌンチャク ・・・。ん?・・・。おーー、もしもこの上下が黄色のジャージに体に沿った縦の黒い線があったら、まるでブルースリーのファイティングスーツではないか?なかなかいいじゃないか・・・。おっと、そうだ、これはついでだ。山でイノシシにあったときには、ブルースリーの得意の道具で奴を追っ払おう。そう、ヌンチャクだ!私はヌンチャクを手に持って丸太を担いで街中を移動するのをためらい、ヌンチャクをひそかに丸太にくくりつけ解らぬようにして山にもって行った。

 登り。これは大丈夫だ。なぜなら、崖だからイノシシはきまい。問題は下りである。山頂についたら、私は背中をまさぐりヌンチャクを取り出した。シャキン!二回、三回振り回す。自分でいうのもなんだが、独学にしてはなかなかいけると思う。私はヌンチャクを握り締め振り回しながら山を下り始めた。

 ところが、やっぱりヌンチャクが暗闇の中で木にあたり、不規則に跳ね返って、顔面にでも当たれば痛い。これは耐えられない。そこで、私はヌンチャクをもってきたことを悔やんだ。しかし、後悔してもしかたない。私は考えた。・・・。・・・。

 私は取っておきの、イノシシ対策のヌンチャク利用法を考え付いた。その方法を実行しながら25分間下り続けた。つまり、ヌンチャクを両手で持ち、あの火の用心のときの拍子木のように、「カキン、カキン」と二つの木をぶつけて音を出し、金華山に生息する生物達に私の存在場所を知らせ続けた。やはり、向かってきた動物をぶったたいて、自分の身を守るより、動物がこっちに向かってこないほうが平和でいい。ヌンチャクなんて恐ろしい道具ではあるが、この平和利用にちょっと満足だ。

ソール しかし、今日軽登山靴のソールがはがれていることに気づいた。まだあんまり履いていなかったのに・・・。クソー、「テクニカ」め!もう二度と買うものか!以前購入した「アゾロ」はよく長持ちしたなぁ~。それにしても、この出発直前に靴を新調しなければいけないとは・・・。運が悪い。

 なお、昨日買った筋肉補助タイツ、のぼりは対してなんとも思わなかったが、下りは楽だった・・・。いい買い物をした。

ついにその日がやってきた パート2

734fcf94.jpg ヒマラヤ準備も今日からやけにあわただしくなった。突貫工事の年度末の道路工事のようだ。私も、トッカン、トッカンやっている。

 先週までなら家に帰って酒でも飲んで、ほろ酔い加減で金華山。夜11時頃登山スタート!とリラックスタイムも少しはあった。しかし、今日からはなぜか忙しい。そこで今日から酒を断って時間を節約することにする(酒を飲むとどうしても眠たくなって寝てしまい生活の効率が落ちてしまう)。もちろん、テレビを見る時間もない。

 家に帰る前に、ヒマラヤグループのメーリングリストに、投げかけて、家に帰ったら返信されているのを整理して、飯を食い、そしてまたメーリングリストへ次の仕事を投げる。今日は10時5分に家をでて金華山登山。

 今日は、また新たしい服を試してみた。オーストラリア・ニュージーランドを中心に展開する「カトマンズ」という登山ブランド。ここ2年、ニュージーランドに行ったとき「カトマンズブランドは日本では手に入らない」という知人の話をもとに、細かい小物を買っていた。そのカトマンズが出している、保温下着である。体に密着フィット。ハーフジップで胸元を開けることができる。真面目に着るのは初めて。黒い上着で、紺のタイツでまた暗闇カラー。今日もしかたなく、白のハーフパンツをはいて怪しい登場だ。

 山の入り口で、20mくらい上ったところで、下のほう(岐阜公園)でかさかさと枯葉を踏みしめる人の音。おっと、違うなぁ。犬かぁ~?私は犬が実は苦手である。割と怖い。家で犬を飼ったこともあるので、全ての犬が怖いわけではないが、特に野良犬が苦手である。あいつら、こっちの気もしらないで、ヨタヨタ走ってこっちにくるではないか。いまの足音はまさにそんな感じ。 山の林の中を斜面を駆け上がってこっちにくるような気配・・・。鳥肌が立つ・・・。あー、早く崖につかないかなぁ。それなら犬も近づけまい・・・。そんなことをかんがえていたら、足音に追いつかれることもなく(実際、こっちにきていたのかは不明なのだが)心臓破りの崖に到達。これで犬の恐怖から遠のいた。
 
 ところで、今日はいつもとちがう。ライトをつけて登っているとうことだ。ライトをつけないこのところの登山、時間がかかりすぎる。足元がぐらつくので負荷がかかるのはいいことなのだが、時間がない。忙しい。だから今日はライトをつけて登る。

 さて、山頂。おっと、家を出てから30分。ライトをつければ、空身(からみ)で登ったのと同じ時間。よーし、こうなりゃ、もしかしたらライトをつけていれば下りは走って降りれるかも・・・。と思い、朝のくだりと同じように走れる場所では走ることにした。

 「コッキ、コッキ」と丸太が背中で揺れる。背負子の鉄にあたり「コッキ、コッキ」と夜の金華山にこだまする。そして、ドタドタドタという足音をたて、よるの金華山を駆け下った。

 ・・・と、そのとき突然、前方5mくらいの暗闇から太った丸っこい中型犬の大きさの生き物が「ガッサーーァ」と草むらの中から飛び出てきた。「キャー、なんじゃこりゃーぁ~~。あ~、あ~、あ~」「こっちくんなぁ~」。草から飛び出た巨大な生命体は草の中を「ガッサ、ガッサ」あちへ、こちへ移動する。私は「ほー」だとか「あー」だとかいってそいつがこちに来ないことを祈った。たぶん、猪だ。あの残像からすればカモシカのようだけれど、金華山にいるわけない。猪は猪のエサのミミズをほったあとが時々みられるから、きっとそうだ。たぶん、今日は岐阜長良鵜飼の最終日。花火がバンバンあがたから、猪もビビッて山の裏側に回ってきたのだろう。野生との遭遇・・・。犬より怖い・・・。

 ところで、i猪より怖い極め付けの生物にあった。10時5分に家をでて、11時10分に家にもどったが、あのアメリカン・オバハン、行きも帰りも見つかった。同じ犬を連れて・・・。しかも、目撃地点は70mくらいしか離れていない。まさか、この一時間の移動距離は70mか?いやそんなことはあるまい。きっとぐるぐる同じところを回っているのだろう。すごい縄張り意識だ。あのアメリカン・オバハン、なかなかやるなぁ~。

ついにその日がやってきた!

adbc93fe.jpg 季節も涼しくなり、私の頭も冷えた。・・・のか?冷静になって考えると丸太を背負っての夜登山はいかにも怪しい。しかも、今日は作業着屋で買ったNASAが開発したという新素材の長袖シャツを試すことにしてた。悪いことにシャツの色は黒だ。そして下は、今日は涼しいので、唯一の黒のトレッキングパンツを履いて行こうかと思ったが、冷静な頭で考えると私は変態だ。わざと暗闇に隠れる全身黒。しかも、丸太を背負い。そして、カメラなんぞを持って・・・。これは変質者に間違えられる(それでも丸太は理解できないとおもうが)。そこで今日は冷静頭で考えた。結論!少し寒いけれど長袖シャツを試したいから、下は白いハーフパンツでわざと夜でも目立つ格好で我慢しよう。暗闇にまぎれたいわけではないという主張を服でするのだ!・・・それでも変人には変わりない。

 ところで、今日、夜登山、丸太が一番怪しいと職場で思い、例えば、なにか箱状の重りがないか探してみた。20リットルのポリタンクがあった。しかし、ポリタンは満タンにしないと、水が背中でゆれてバランスを崩す。だから満タン20キロでないとポリタンは使えない。初心者の私には20キロの重りはまだ早い・・・。結局、今日も丸太になった。

 でもいいのだ。家から出て山に入るまでの間に誰にも見つからなければ。そう思い家の扉を閉めてエレベータに向かった。するとエレベータは最上階で止まっていた。「やばい!」もしもエレベータで人で人にあったら、もうこのマンションには住めない。そこで、階段で降りていくことにした。そんな気を使いながら山の中に入っていた。

一時間後

 一匹のオバボタルを写真に写し、いい気分で下山してきた。山からでて、日中友好庭園を横切り、あの角を曲がれば家につく。おっ、なにか動く影。人か?私もその角に追いつきまがったら、いつものワンコの散歩おばはんだった。余談だが、そのオバハンかなりアメリカンサイズである。彼女どうやらマンションの隣で犬を3・4匹かっているようで、私の出勤時も、夜のランニング時にもいつも犬をつれ散歩をしている(というか、彼女の自分の縄張りの見回りをしているようにしかみえないのだが)。そんな彼女、散歩の量と体型とには因果関係がないということを教えてくれる希少なオバハンである。そんなことはどうでもいい。新参者の我々マンション住民に対して、古参のオバハンはまだ我々を受け入れていないようで、いつもブスッーっとして思い体を後ろにそらしながら、のっし、のっしと朝の長良川・夜の長良川を闊歩する。まぁいいや、あのオバハンに見つかっても、俺に職務質問することはないだろう。

 と思った矢先、そのオバハンと交差するように黒い背広をきたサラリーマンが目の前20mを横切った。ちょうど、黒い影はマンションに吸い込まれる。おー、ヤバイ!とうとうマンション住民に見つかったか、エレベータに一緒にならなければいいが。と思いながらエレベータに向かう。ところが、さっきの黒い影は見当たらない。おー、ラッキー。あの人はどこかにいったのか?と思った瞬間、僕が通ってきたとは別のドアが開く音がした。音のした右側を見るとあのサラリーマンである。あー、もう観念!見つかった。あとは彼が見て見ぬフリをしてくれるのを願うばかり。ここに住んで3年たつが、マンションにすむ叔父さんに話しかけられたのは、買い物袋にネギを入れてエレベータをまっていたら、酔っ払った最上階の叔父さんが僕の買い物袋をみて、「テニスですか?」とたずねてきた。もちろん私はストレートに「いえ、ネギです」と応答。たしかにTシャツとハーフパンツだったのでスポーツしてきた姿見見いえる。しかし、オッサン、ネギをラケットと見間違えるようじゃぁ、こんばんは酒に飲まれてるねぇ?そんなことが一回あっただけ。

 彼が近づいてきた。おー、あの顔みたことある。息をとめて彼を見ぬフリをしていた。彼が1mの距離に近づきエレベータの前に立ち止まった。そして「これはなんですか」と背中の丸太を「突っつきながら」僕に聞いてきた。がーん、やっぱり俺は透明人間になれなかったか・・・。「えっ、えっ、とぅ、とっレーニングです・・・。」いかんいかん。これじゃーわからん、あまりにも唐突だ。そして言葉を継いだ「えー、10月の下旬、ヒマラヤに行くのでそのためのトレーニングです。昼間は仕事で山に登っていられないので、夜に登山しています」「ほぉー、ヒマラヤのどこ?」「エベレストの氷河です」「氷河って最近小さくなっているっていってるけど・・・」「あーー、それの調査に行くんです」などとエレベータの中で盛り上がり、5Fの彼は私よりも先に降りるが、「おやすみなさい。がんばって」と言葉をかけられた。こんな強面の私、しかも怪しい格好をしている私に、よく叔父さんはなしかけてくれた。ありがとうございます。

 そして私は想像する。
 あの叔父さん、あれから玄関の扉を開ける。すると奥さんが「お帰りなさい」と声をかける。「おい、このマンションの坊主頭の中年をみたことあるか」「ええ、ありますけど、その人が、なにか」「あいつ、こんどヒマラヤに行くからって、丸太担いで夜やまに登っているんだって・・・わっはっはぁー」などと、彼は革靴のヒモを解きながら奥さんに話しかける。そして私は喜ぶ。あー、この変態も一家団欒の話題提供で同じ屋根の下に暮らすサラリーマン家庭のなにか役に立ったのかも。

 ・・・しかし・・・。この妄想力のほうが、今日の私の姿よりも、頭がイカレていることを物語るのかもしれない。