ついにその日がやってきた!

adbc93fe.jpg 季節も涼しくなり、私の頭も冷えた。・・・のか?冷静になって考えると丸太を背負っての夜登山はいかにも怪しい。しかも、今日は作業着屋で買ったNASAが開発したという新素材の長袖シャツを試すことにしてた。悪いことにシャツの色は黒だ。そして下は、今日は涼しいので、唯一の黒のトレッキングパンツを履いて行こうかと思ったが、冷静な頭で考えると私は変態だ。わざと暗闇に隠れる全身黒。しかも、丸太を背負い。そして、カメラなんぞを持って・・・。これは変質者に間違えられる(それでも丸太は理解できないとおもうが)。そこで今日は冷静頭で考えた。結論!少し寒いけれど長袖シャツを試したいから、下は白いハーフパンツでわざと夜でも目立つ格好で我慢しよう。暗闇にまぎれたいわけではないという主張を服でするのだ!・・・それでも変人には変わりない。

 ところで、今日、夜登山、丸太が一番怪しいと職場で思い、例えば、なにか箱状の重りがないか探してみた。20リットルのポリタンクがあった。しかし、ポリタンは満タンにしないと、水が背中でゆれてバランスを崩す。だから満タン20キロでないとポリタンは使えない。初心者の私には20キロの重りはまだ早い・・・。結局、今日も丸太になった。

 でもいいのだ。家から出て山に入るまでの間に誰にも見つからなければ。そう思い家の扉を閉めてエレベータに向かった。するとエレベータは最上階で止まっていた。「やばい!」もしもエレベータで人で人にあったら、もうこのマンションには住めない。そこで、階段で降りていくことにした。そんな気を使いながら山の中に入っていた。

一時間後

 一匹のオバボタルを写真に写し、いい気分で下山してきた。山からでて、日中友好庭園を横切り、あの角を曲がれば家につく。おっ、なにか動く影。人か?私もその角に追いつきまがったら、いつものワンコの散歩おばはんだった。余談だが、そのオバハンかなりアメリカンサイズである。彼女どうやらマンションの隣で犬を3・4匹かっているようで、私の出勤時も、夜のランニング時にもいつも犬をつれ散歩をしている(というか、彼女の自分の縄張りの見回りをしているようにしかみえないのだが)。そんな彼女、散歩の量と体型とには因果関係がないということを教えてくれる希少なオバハンである。そんなことはどうでもいい。新参者の我々マンション住民に対して、古参のオバハンはまだ我々を受け入れていないようで、いつもブスッーっとして思い体を後ろにそらしながら、のっし、のっしと朝の長良川・夜の長良川を闊歩する。まぁいいや、あのオバハンに見つかっても、俺に職務質問することはないだろう。

 と思った矢先、そのオバハンと交差するように黒い背広をきたサラリーマンが目の前20mを横切った。ちょうど、黒い影はマンションに吸い込まれる。おー、ヤバイ!とうとうマンション住民に見つかったか、エレベータに一緒にならなければいいが。と思いながらエレベータに向かう。ところが、さっきの黒い影は見当たらない。おー、ラッキー。あの人はどこかにいったのか?と思った瞬間、僕が通ってきたとは別のドアが開く音がした。音のした右側を見るとあのサラリーマンである。あー、もう観念!見つかった。あとは彼が見て見ぬフリをしてくれるのを願うばかり。ここに住んで3年たつが、マンションにすむ叔父さんに話しかけられたのは、買い物袋にネギを入れてエレベータをまっていたら、酔っ払った最上階の叔父さんが僕の買い物袋をみて、「テニスですか?」とたずねてきた。もちろん私はストレートに「いえ、ネギです」と応答。たしかにTシャツとハーフパンツだったのでスポーツしてきた姿見見いえる。しかし、オッサン、ネギをラケットと見間違えるようじゃぁ、こんばんは酒に飲まれてるねぇ?そんなことが一回あっただけ。

 彼が近づいてきた。おー、あの顔みたことある。息をとめて彼を見ぬフリをしていた。彼が1mの距離に近づきエレベータの前に立ち止まった。そして「これはなんですか」と背中の丸太を「突っつきながら」僕に聞いてきた。がーん、やっぱり俺は透明人間になれなかったか・・・。「えっ、えっ、とぅ、とっレーニングです・・・。」いかんいかん。これじゃーわからん、あまりにも唐突だ。そして言葉を継いだ「えー、10月の下旬、ヒマラヤに行くのでそのためのトレーニングです。昼間は仕事で山に登っていられないので、夜に登山しています」「ほぉー、ヒマラヤのどこ?」「エベレストの氷河です」「氷河って最近小さくなっているっていってるけど・・・」「あーー、それの調査に行くんです」などとエレベータの中で盛り上がり、5Fの彼は私よりも先に降りるが、「おやすみなさい。がんばって」と言葉をかけられた。こんな強面の私、しかも怪しい格好をしている私に、よく叔父さんはなしかけてくれた。ありがとうございます。

 そして私は想像する。
 あの叔父さん、あれから玄関の扉を開ける。すると奥さんが「お帰りなさい」と声をかける。「おい、このマンションの坊主頭の中年をみたことあるか」「ええ、ありますけど、その人が、なにか」「あいつ、こんどヒマラヤに行くからって、丸太担いで夜やまに登っているんだって・・・わっはっはぁー」などと、彼は革靴のヒモを解きながら奥さんに話しかける。そして私は喜ぶ。あー、この変態も一家団欒の話題提供で同じ屋根の下に暮らすサラリーマン家庭のなにか役に立ったのかも。

 ・・・しかし・・・。この妄想力のほうが、今日の私の姿よりも、頭がイカレていることを物語るのかもしれない。

3 thoughts on “ついにその日がやってきた!

  1. 竹島

    今朝、仕事にでかけるときのエレベータ。5Fでとまったら、昨日のおじさんが乗ってきた。「イヤーばれましたか・・・」と話が弾みました。

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  2. イマフジ

    間違いなく妄想力は変態の域ですm(._.)mらしいといえばらしいので云々…
    調査登山(本番)まであと足も入れて数えることが出来る日にちで驚きましたo(^-^)o先生は高山病にもかからず、普通に調査に参加しているように想像します…トレーニング頑張ってくださいo(^-^)o応援しとります

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  3. takejima

    ようこそ、イマフジさん。一瞬だれ?っと思いましたが、そんな呼び方してたのは私だけでしたね・・・。ユーチューブの遊び方教えてくれてありがとう。またおもろいねたあったら教えてください。

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