土曜日に名古屋の住宅資材展示会に行ってきた。この職場にいると、林業、林業とお経のように同じ言葉を聞き「あたかも世の中、林業、しかも、最近では国内の林業」がとても大きなことのように思えてくる。しかし、私が建材を販売していた会社員時代、「だれもそんなことは思っていない」と実感していたので、いまの職場のお経の渦から、時々飛び出ないと「頭がおかしくなりそう」だからだ。
国内木材需要の8割を輸入木材が占めており、日本の木材は長い間不振にあえいできた。ところが、ここ数年の中国やインド、中近東での経済活況により木材の需要が増え、日本に木材が入りにくくなってきた。そこで、林野庁や県では本腰をいれて日本林業にテコ入れしようと頑張っている。
そんな話を聞くたびに(私も深くかかわってはいるが)、なんだかちょっと異な感じをしていた。理由は、木材をつかうエンドユーザーが見えてこないからだ(私がしらないだけかもしれないが)。県の人が来ていうには、製材所が○○が安定供給されれば、購入するということなので、林業サイドはその安定供給・低コストの道をつけるのだ、そういうことだった。
私は製材所の先の製品がそれだけの量売れるのか、または、個人消費者が国産材でいいというのか・・・。それが気になっている。けれど、この職場にいる限り山の現場しか見えてこない。
そこで建築資材展示場にいき取材してくることにしたわけだ。
その結果、最近人から聞いたことと一致しているが、どうも合板の需要は高いが、柱や板は国産材を求めているわけではないと思った。
柱については、数年前、プレカット工場や木材屋で話をきけば、国内需要の多くの部分は、大手ハウスメーカーでは集製材柱(それでないと、木が乾燥して割れたりして、お客からクレームになり再度建て直しをすることもあるそうで、そのリスクを考えたら多少高くても集製材でリスク回避)、②中堅のハウスメーカーは集製材をつかえば価格競争力で大手に負けるので乾燥米マツ。それからもれる隙間なんところを国産材の柱が埋めているらしい。そんなことを聞いているので、俄に大手・中堅のハウスメーカーがいくら輸入木材価格があがったため、値段があえば国産材をつかってくれるといっても、知れた量。そんなことを感じていた。
そんなおり、先週、林業サイドのある人から「どうも、私たちは柱生産に期待して、現在仕組みを考えようとしているが、国の本当の狙いは、構造用合板のようだ」という話を聞いた。
展示会にいってわかったこと。確かに、誰も柱に期待していなかった。柱に対する需要も現在、皆無(ただ、和歌山の山長商店は違った)。国産材を欲しがっているのは、構造用合板だけだった。
しかし、たかが、構造用合板なのに、なぜ、そんなに騒いでいるのか?ちょっと不思議だった。そこで、ベニアを売り続けて18年の大学時代の同級生に電話をしてみた。すると自分がいかに不勉強であるかを思い知った。
①むかしから住宅をつくるとき、瓦の下地に合板をつかう。また床の下地に構造用合板をつかう。私が会社員時代合板をうっていたとき、それで使われていたのは、インドネシアやマレーシアの合板だった。
②ところが、数年前シックハウス症候群の原因として合板で使われる接着剤中のホルムアルデヒドが問題となり、建築基準法が変った。ホルムアルデヒドの空気中への出具合によって合板が規格化された。もちろん、住宅用途は基準は厳しい。それが、外国の合板工場では基準をクリアするのが難しく、国内の合板工場が息を吹き返し(私が会社員時代は、ほとんど全ての合板メーカーは海外に生産の拠点を移し、国内の工場でつくられる合板は風前の灯だった)、ロシアの唐松をつかった合板を生産するようになった。
③そんな中、家のつくりかたが変ってきた。昔は土台、根太、合板、床と木材を積み上げて床をつくっていたが、最近では24mm(普通の倍サイズ)の合板をつかうかわりに根太を使わない工法が広がってきた。また壁にも合板を使う。したがって、これまではほとんど流通しなかった国産の合板の需要が一気に高まった。
④ところが、ロシアが丸太の輸出に関税をかけることがきまり、日本に合板用丸太が入ってこない。ハウスメーカーは困る。合板工場も困る。そこで日本に丸太を求める。
となると、いま国産材・国産材とうるさいが本当の狙いは「安い」丸太。柱や板のことは眼中にない。むしろ、柱や板になる木材を大量に山から出してきてもユーザーがおらず、結局、相場が崩れて、最終的に合板用丸太と同じ値段で取引される・・・。そんな最悪のシナリオも考えられる。値段さえあえば、成長の早いニュージーランドのマツ材にとってかわるのかも・・・。
うーん、これでいいのか。
さて、私の理解間違いもあることと思います。S永さん、tharaさん、yamasan、ご意見をいただけますか。
現状の川下は、それが主流ではないでしょうか。我宮崎県林業界も中国木材の進出を機に一挙にその流れに乗ってしまうものと思われます。現状の国産材は外材の代用に過ぎないばかりか、それ以下の扱いです。(国産材は集成材の内層材であり、外装は外材で被われる状況)
国産という言葉に敏感なご時世。「国産」材には無縁なのでしょうか?何かキッカケが必要なのか?やっぱり知事頼みか?
国全体を考えたら、その流れですが、一企業を考えたら国産材の活路はあると考えています。しかし、皆がまねできるようなことをすれば結果的に供給過多になって値崩れをおこしてしまうでしょう。
和歌山の「山長商店」さんの取り組みはS流さんのところに大変参考になるとおもいます。H島さんと話していて、いつか、訪問しようということになっています。そのときには声をおかけしますので、いかがですか。
当社ような育林形態を指向する林業事業体に取って現況の一般的な国産材マーケットは、もしかすると勝機となるのでしょうか?その思いもしばしです。
これまで通り在来の建築様式にしがみついたままか、また独自のマーケットを開拓していくのか。今後に繋がる取り組みについて是非ともご享受させて下さい。その際は、ご一報願います。
まだまだに考えは煮詰まっていませんが、直感としてS永さんのところはマイペースで、いいものをつくることに専念することが一番ではないかと思っています。一般的な国産マーケットには勝機はないと思っています。一般国産材音頭にのることなく・・・。
勝機をほんとにものにするには「エンドユーザー」をしっかり捕まえることだとおもいます。いまの一般的な林業の全国的な取り組みの問題点を以下のように見ています。
山(林業会社・製材会社)には街(製材会社・ハウスメーカー・一般国民)の顔が見えていなく、街には山の顔がみえていない。行政が二つを分断して間の中間を独占しているのが問題だとおもいます。山の人たちはパーツで動いて欲しい、全体の行動は行政がちゃんと仕切るから・・・、そんなふう私は感じています。
時代に流されることなく、余裕のある今、しっかりお客をつかむ営業努力をされることが一番大切なことかな、と今のところは考えています。
もう少し勉強したら、また九州で情報収集をしたいと思っています。学生をつれていくかもしれませんので、その節はよろしくお願いします。なるべく仕事のお邪魔はしないように気をつけますから。