インドネシアの山火事

昨日、初秋の日本に帰ってきた。日本は本当にすばらしく素敵なところだと毎度のことながらおもう。

これから何回かに分けて心に残ったことを書くつもりだ。
さて、その一回目。

近年、インドネシアで起きた森林破壊とその後の山火事によって、地球上に放出される二酸化炭素の量が、ある年にはその年に排出された世界の全量の3分の1くらいあったという。今回、その地での二酸化炭素収支をはっきりさせるためのプロジェクトの一環でインドネシア、中央カリマンタン(ボルネオ島の南東)に行った。私の役割は空から地上部分(植物・地面)の計測したデータの処理である。データを処理するだけなら、現場に行かなくてもいいが、やはりデータ処理する上で、不思議な問題にぶちあたったとき現場を知っているのと知らないとでは大きく違う。そのため現場を見ておく、それが私のメインの仕事だ。IMG_0156

この地にあった森林(伐採から免れ残存している木や再生してきた森林も現在もある)は、泥炭という炭になり損ねた植物遺骸の上に成立していた。先の大規模開発では、そこの森林を切り開き、水はけをよくするための運河を行く筋も掘った。おかげで、泥の中の炭は乾き、なにかきっかけがあれば大いに燃える。要するにバーベキューの炭が広大な厚みで広大な範囲で埋まっているところに、どこか一箇所火がつけば炭や草・木を燃やしながら火事が拡大するのだ。
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想像と違っていたのは、日本の山火事の場合、火元がありその火元が大いに拡大して、何百ヘクタールも焼けるということだが、インドネシアの場合、同時多発。規模も大規模から小規模まで。もうどうすることもできない。しかも、木が燃えているだけではなく、地面の下の炭が燃えていて(この場合地面が暑い)、どうすることもできない。そんな規模の火災は想像してもいなかった。それは帰りの空からみても明らかだった。
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そのため、当地ではいつもガスが出たような毎日。滞在したホテルから100mも離れていないところに電波塔があったが、それもかすんでいる。町は晩秋の日本の田園のように、草が燃えたようなにおいが漂う。私が当地を立った日は、風が強く火災に拍車をかけ、飛行機は視界不透明で遅れに遅れた。やっととび立ち、町を見下ろせば、その煙のすさまじさ(日本の県庁所在地)がわかる。日常生活の中で山火事が起きているのだ。
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時に田舎の道では草や木などが燃え車の通行が不能になるくらい。煙が充満しているときもある。
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今年はエルニーニョということで、インドネシアは乾燥し、雨も降らず、森や地面は燃え続ける。太陽は夕焼けにはまだはやいのに、赤い。
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2 thoughts on “インドネシアの山火事

  1. tossan

     おかえりなさい。インドネシアのこの現状はまったく知りませんでした、たいへんなところですねまたお聞かせください。

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  2. takejima

    私も知りませんでした・・・。
    いまも分かりませんが、地球温暖化や生物多様性などについて大いに考えさせられました。私のいままでの考え方は、非常に狭い甘い考え方でした。

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